独白 愉快な“病人”たち

洞口依子さん がん手術から10年後に発症したリンパ浮腫を語る

洞口依子さん(C)日刊ゲンダイ

 しかも、若い人たちには未来がある。たとえば仕事、あるいは結婚や出産を諦められないという方も、もちろんいるでしょう。

「一人の意見じゃ何も変わらない」と、私は諦めたくない。小さな魚も群れになれば大きな魚に見えるのと同じように、いつか、何かやってやろうとヒタヒタと狙っています(笑い)。

 子宮頚がんの治療後、その病気の体験を「子宮会議」というタイトルの本に記しました。2カ月という長い入院生活、その後の苦悩や葛藤、喪失感は幾度となくネガティブなブラックホールに引きずり込まれそうになりました。踏みとどまれた理由は何かと振り返ると、「生きたい」と思うシンプルな気持ちに思えたんです。「もっと生きて、夢を見て、何かを生まなければ」と。

 何事も元気で、生きているうち。あれこれ思い出すこと、したためること、そして先輩から譲り受けたもろもろを、若い世代へ継承するという重要な役割も含めて。

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