後悔しない認知症

高齢の親の「対象喪失」状態を軽く考えてはいけない

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 認知症と老人性うつが、初期段階において極めて似た症状が認められることは前にこのコラムでも書いた。両者には「物忘れ」「意欲の低下」など共通の症状が表れる。うつでは食が細くなり、眠りが浅くなるが、年のせいと思われがちだが、違うのだ。

 対象喪失が疑われる高齢の親に対して子どもは「よく眠れているか」「涙目になっていないか」「食欲が衰えていないか」など、注意して観察するべきだ。認知症は急に始まることはないが、うつは特定の時期から症状が出る。

 医学的には、うつが認知症発症の直接的な原因になるとは考えられてはいないが、もし高齢の親に対象喪失による心身の変化が見られるような場合には、速やかに専門医の診断を仰いだほうがいい。

■悲しみに寄り添う温かい言葉が大事

 認知症はともかくとして、老人性うつの場合は投薬によって大幅な改善が見られることが多い。仮に認知症や老人性うつと診断されなかったとしても、子どもは言動に細心の注意を払うべきだ。

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和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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