ところが、入院後に心臓の働きが急激に悪化し、あらゆる治療にも回復せず、とうとう家に帰れないまま亡くなられました。がんの末期とはいえ、あれほど「家にいたい」と言っていたのに……。また良くなるためにと説得しての入院だったのに、家に帰る希望をかなえられませんでした。
私は「こんなことになるならぎりぎりまで家にいさせてあげたかった」と後悔しました。いまも私の頭の中には、「私は先生の言うことを聞いてあげたの。先生のために入院したの」というNさんの言葉が残っています。
同じ終末期でも、病状によってなかなか患者さんの希望通りにはいかない現実があるのです。
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がんと向き合い生きていく