いえ、体重が元通りになるだけなら、まだいいのかもしれません。糖質は、タンパク質と同様に筋肉を作るのに不可欠な栄養素。ボディービルダーなど美しい筋肉をつけることを目的にトレーニングをしている人は、必ず糖質を食事で取り入れているほどです。糖質制限で糖質をカットしたために筋肉量が減ってしまい、体重は元通りでも、体脂肪率は上がってしまう。つまり、糖質制限を始める前よりも“太って”しまうケースがほとんどなのです。最近では体重の増減は寿命に悪影響があるという報告も多くなされています。
「私は糖質制限をずっと続けられる」という人もいるかもしれません。それでも、私は過度な糖質制限には反対です。長期的に見て糖質制限が体に良いという報告より、むしろ、その逆が多いからです。
米国で行われた糖質制限に関する複数の研究をまとめた結果によると、45~64歳の成人を25年間追跡調査したところ、糖質の摂取の割合50~55%が最も長生き、40%未満で死亡率1・2倍、70%超で1・23倍というものでした。糖質は少なすぎても駄目、多すぎても駄目、ほどほどに取らなければならないということ。別の研究で、糖質制限が心臓病を増やすという結果も出ています。
進化する糖尿病治療法