抗がん剤は副作用があるのに、丸山ワクチンにはない。本当にがんに効く? といったように、当時、メディアはがんの特効薬として大々的に取り上げました。各方面から国の保険適用を認可するようにとの要望もあり、社会的な問題にもなりました。
■臨床的な効果は科学的に認められていない
結局、91年に丸山ワクチン濃厚液はがんに対してではなく、放射線治療の副作用による白血球減少の抑制剤として認可され、保険適用となりました。
ただ、この放射線の副作用は臨床的に問題になることは少なく、有用性はそれほど大きいものではありませんでした。しかもその後、抗がん剤での白血球減少による感染症が起こった場合は、「G―CSF」(顆粒球コロニー刺激因子)というもっと強力に白血球数を増やす効果が得られる薬剤が開発されました。
がんと向き合い生きていく