がんと向き合い生きていく

丸山ワクチンは70年以上も「治験」という形で使われている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 これまで、丸山ワクチンのがんに対する効果は基礎的、免疫学的な研究ではいろいろ説明されています。しかし、臨床的にはがんに対する効果は科学的に証明されず、つまりエビデンスがないまま、作られてから70年以上経っても、いまだに「治験」という形でがん患者さんに使われているのが現状です。

 そのため、患者さんや家族が丸山ワクチンを手に入れる時、日本医大は検査データを要求しています。いつまでも「治験」ではなく、早くしっかりした結論を出すのが患者さんに対する責任であると思います。

 丸山ワクチンが登場してからおよそ70年、がんの告知も変わりました。本人にはがんを隠した時代は過ぎ去り、今や患者自身が「治療法はない」「短い命です」と告げられる時代です。この間、明らかにがんに効く薬がたくさん登場しました。この70年、丸山ワクチンの果たした役割は何だったのでしょうか。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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