後悔しない認知症

できる・できないを繰り返す「まだら認知症」の対応方法

写真はイメージ

 この症状の主な原因となる脳内の血管の梗塞や出血は、表面的にはすぐに日常生活の阻害要因となるとはかぎらない。実際には脳内で小さな梗塞や出血が繰り返し起こっていても、顕著な症状が表れないことが少なくない。だが小さな梗塞や出血が続いたり、年齢を重ねることで次第に症状が表れてくる。だから、まだら認知症が認められる場合には、臨床経験豊富な専門医の診断を仰ぎ、脳血管性認知症であるかどうかを調べてもらうことが大事だ。脳血管性認知症であれば、生きている神経細胞が元気なので多少のリハビリも可能だし、さらなる血管障害の発生を予防するための薬を服用したりすることで、症状の進行を抑えることも可能だ。また遠因としては、生活習慣病も考えられるから、その面での改善が症状の進行を抑える可能性もある。

 ただし高齢者の場合は、アルツハイマー型認知症を併発しているケースが少なくないので、薬の効果を含めた症状の改善は限定的になると考えなければならない。

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和田秀樹

和田秀樹

1960年大阪生まれ。精神科医。国際医療福祉大学心理学科教授。医師、評論家としてのテレビ出演、著作も多い。最新刊「先生! 親がボケたみたいなんですけど…… 」(祥伝社)が大きな話題となっている。

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