Y染色体喪失と健康の関係が明らかになりつつあります。とくに2014年に科学雑誌ネイチャーに掲載された論文が注目されています。
スウェーデンで、男性高齢者1153人を対象に、8年以上の歳月をかけて行われた研究です。
まず寿命との関係について。Y染色体喪失の割合が高い人(全血液細胞の18%以上でY染色体が消えている人)は、そうでない人と比べて、平均して5年半も寿命が短いことが示されました。
寿命が短くなる理由のひとつは、がんと関係しているようです。
男性のほうが女性よりもがん(乳がんなど性依存性のがんを除く)にかかりやすいのは、昔からよく知られています。しかしその理由は、いままで明らかではありませんでした。
それがこのスウェーデンの研究によって、解明の糸口が見えてきたのです。Y染色体が減っている人ほど、がんのリスクが上昇することが明らかになったのです。
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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。