医療用麻薬の使用量の国際比較(2013~15年)によると、トップはドイツの2372グラムで、オーストラリア、カナダ、米国が1500グラムを超えていて、日本は韓国の半分程度の118グラム。ドイツの20分の1程度に過ぎません。
それで痛みを十分取れないことによる不利益は患者に及びます。がんの痛みを取る緩和ケアを行うグループと行わないグループに分けて追跡すると、いくつもの研究で緩和ケアを行うグループに延命効果があることが示されています。日本の末期がんは、苦しみ抜いて亡くなるイメージといってもいいでしょう。
米国で社会問題になっているとはいえ、医療用麻薬も適切に使用すれば、依存することはありません。米国のような適応拡大はともかく、医療用麻薬を適切に使うことでがんの痛みをしっかり取ることは大切だと思います。
Dr.中川のみんなで越えるがんの壁