幼少の頃にたまたま冠動脈起始異常が見つかった場合でも、何かしらのトラブルが起こっていない場合は経過観察になります。本来なら大動脈から出ているはずの血管が肺動脈から出ているような極端な異常でない限り、手術をするようなことはありません。
注意すべきはやはり15歳を越えたあたりです。その年代で、たとえば原因がよく分からない失神発作や急に胸が詰まって苦しくなるといった症状が表れたり、スポーツの成績がクラスでトップクラスだった生徒が急に心肺機能の低下を来すような異変があったときは冠動脈起始異常を疑った方がいいでしょう。その段階で発見できれば、治療で突然死を防ぐことができます。
冠動脈起始異常の治療や研究については、次回詳しくお話しします。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」