こうした細菌感染が起こりやすい心臓の構造の変化があり、そこに免疫力を低下させる生活習慣病や薬物乱用が加わることで、感染性心内膜炎が増える条件が揃ってしまったのが現状だといえるでしょう。
これは日本で今年、頻発した豪雨災害と同じような構造をしていると感じます。まずは、地球温暖化という全体的な環境の変化によって、台風の性質が大雨を降らせる雨台風に変わってきている傾向があります。そこに、明治時代に造られた堤防や護岸の多くが経年劣化で耐久性が落ちているという条件が重なり、これまでなら乗り切れた台風に耐えられず、河川の氾濫が相次ぎました。これは、気象と治水との全体的な防災バランスのトレンドを読み切れずに対応できなかったということです。
感染性心内膜炎が増えている状況も、人体、生活習慣、社会情勢というトレンドの変化によって、体の中の防災構造が対応し切れなくなっているから起こっているといえるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」