独白 愉快な“病人”たち

グラウンドに立ちたい…鈴木康友さん骨髄異形成症候群との闘い

鈴木康友さん(C)日刊ゲンダイ

 待ちに待った退院。でもそこからは家族の方が大変でした。数カ月間は抵抗力がゼロなので、箸や茶碗といった食器はすべて熱湯消毒。エアコン、カーテン、じゅうたんに至るまでカビや細菌、ウイルスを除去しての生活です。パニックになりそうな妻を僕の代わりに励まし支えてくれたのは、落ち着いていていつも冷静な息子と、前向きでプラス思考の娘でした。本当に頼りになりました。

 移植の話が出た時から、医師に「家族の協力なくしてはできない治療だ」と言われていたので覚悟はしていましたが、本当にしんどかった。でも家族がそれぞれの役割を果たし、一丸となって乗り越えることができました。今年の3月で移植から丸2年になります。移植を受けてから「命の貴さ」や「自分にできることは何か」を考えるようになりました。

 僕の命を救ってくれたのは16年10月に生まれた男の子の赤ちゃんです。中部臍帯血センターから送られてきたという以外、お互いの情報は知らされていませんが、いつかまたユニホームを着てグラウンドに立てたら、ご両親へも恩返しになるかな……。

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