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白血球の2割~4割 病原体を攻撃する「リンパ球」の機能

中国・武漢の病院で新型コロナウイルスによる肺炎の発症者の手当てをする医療関係者(C)共同通信社

「MHC(主要組織適合遺伝子)クラス1」と呼ばれる細胞膜表面の分子で細胞の性格が分かるので、T細胞はこれで正常の細胞と悪性腫瘍や感染細胞とを区別できます。MHCクラス1分子が少なかったり、欠如している場合は、T細胞の攻撃から免れる可能性もありますが、NK細胞がこれを破壊します。ナチュラルキラー細胞という名称は、MHCクラス1分子がない異常細胞を殺すために、前もって刺激される必要がないことから名づけられました。

「B細胞」は液性免疫を担います。細菌やウイルスのような異物が侵入しますと、ヘルパーT細胞(Th2)の指令で免疫グロブリン抗体を作り、病原体を攻撃します。

 風邪の原因となるコロナウイルスには細胞性免疫が働きますが、新型コロナウイルスのSARSやMERSではT細胞そのものまで破壊されることがあります。新型肺炎ウイルス感染ではT細胞活性はあるようですが、重症化するとSARSと同じようにすべてのリンパ球が傷害されます。

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東丸貴信

東丸貴信

東京大学医学部卒。東邦大学医療センター佐倉病院臨床生理・循環器センター教授、日赤医療センター循環器科部長などを歴任。血管内治療学会理事、心臓血管内視鏡学会理事、成人病学会理事、脈管学会評議員、世界心臓病会議部会長。日本循環器学会認定専門医、日本内科学会認定・指導医、日本脈管学会専門医、心臓血管内視鏡学会専門医。

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