がんは陽子線で治す 普通の放射線と何が違う?医師に聞く

小説家のなかにし礼さん(左)や俳優の村野武範さんも完治(C)日刊ゲンダイ

 放射線治療には光子線と粒子線があり、一般的に知られる放射線治療は光子線の代表格であるX線で、陽子線は粒子線のひとつだ。

「X線と陽子線の違いは放射線ががんを突き抜けるかどうかです。X線は体の奥に進むに従ってエネルギーが弱くなりますが、がんを越えて体を突き抜けてしまいます。そのため、がんに強い放射線を当てようとすると、その手前にある正常組織に、がんよりも強い放射線が当たり、がんを通り過ぎた後にある正常な組織や臓器も傷つけます。一方、陽子線は設定した深さに到達したときに最大のエネルギーを放出して停止するという物理的特性があり、ブラッグピークと言います。そのため、がんのある深さに合わせて照射すれば、がんをピンポイントでくりぬくように治療することができます。がんより後ろに放射線が照射されることがないのです」

2 / 5 ページ

関連記事