Gさんはいつ亡くなってもおかしくないほど重篤でしたが、意識ははっきりしていました。
かたくななA看護師に対し、看護長は「絶対ダメ。許さない」と言います。後で聞いたことですが、看護長は心の中で「私が2人を引き裂こうとしているみたい。A看護師に意地悪している自分がいる……」と少し思ってしまったそうです。
それでも、「夜8時までにしましょう。私が8時になったら迎えに来るから」と言って説得しました。しかし、夜8時に迎えに行ってさらに説得しましたが、A看護師は応じません。結局、A看護師は翌朝までGさんの部屋から離れませんでした。朝になり、看護長はA看護師を休ませるために勤務を外し、同僚に無理やり看護宿舎に連れて行かせたようでした。
その後も、A看護師は疲れを隠しながら、制服でも私服でも、重篤なGさんの看護にあたりました。
がんと向き合い生きていく