日本人が新型コロナウイルスに強い理由は?ゲノム学者が解説

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 そして私たちの遺伝子に存在するわずかな違いが、新型コロナウイルス感染症の重症化などに関連するのではないかという研究が世界各国で進んでおり、今後関連が明らかになるだろう。また、糖尿病や心臓・呼吸器の基礎疾患がある患者は重症化のリスクが高いことが、中国を中心に世界各地から報告されている。その他、喫煙の習慣や肥満などもリスクファクターとして指摘されている。加えて、マスクをつける習慣や靴を履いたまま家の中を歩かないことなど、さまざまな生活習慣の違いも関連する可能性はある。

 おそらく最も関連することとして、医療体制、政府や専門家委員によるさまざまな対策とそのタイミング、それらを受けて日々生活を送っている、私たち一人一人の生活変容が功を奏していると考えられる。

 コロナウイルスを完全になくすことは、ワクチンの完成をもってしても厳しいかもしれないが、医療体制を崩壊させずに、維持していくことが重要であると考える。そのため、緊急事態宣言が解除されても、気を緩めて元の生活様式に戻るのではなく、感染しにくい、また他の人に感染させにくい生活様式に変えていく必要がある。

(中川草・東海大学医学部講師)

4 / 4 ページ

関連記事