新型コロナの未来 イヌウイルスから見た世界同時弱毒化の可能性

ブラジルでは感染者が300万人に迫る(C)ロイター

 その後、CPV―2に近いウイルスがアカギツネに見つかり、CPV―2はキツネの近縁種のパルボウイルスがイヌに感染した新興ウイルス感染症であることが分かった。

 ここから、不思議なことが起こった。イヌで病原性が高かったCPV―2であるが、1年もすると、病原性の低いウイルスが出現したのだ。このウイルスは抗原的に区別がつき(抗体に対する反応性が異なる)、「CPV―2a」と名付けられた。さらに、1984年になると別の抗原型も出現し、「CPV―2b」と名付けられた。CPV―2aとCPV―2bは一気に世界を駆け巡り、CPV―2と置き換わった。そして、CPV―2はこの世から消滅してしまった。

 なぜ、CPV―2aやCPV―2bが短期間に世界中に広がったのか謎であった。イヌ用のワクチンにこのウイルスが混入したことも考えられたが、そのような証拠はなかった。

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