新型コロナの未来 イヌウイルスから見た世界同時弱毒化の可能性

ブラジルでは感染者が300万人に迫る(C)ロイター

 実際に、その兆候は表れているようだ。欧米においても新型コロナウイルスは依然として拡大傾向ではあるが、重症化率、致死率は明らかに低下している。

 コロナウイルスはさまざまな動物に感染している。ネコも例外ではない。ネコのコロナウイルス(FCoV)は多くのネコに感染しているが、普通は重篤な疾病を起こさない。ところが、一部のネコでは伝染性腹膜炎(FIP)という重篤な疾病を引き起こす。FIPを引き起こすFCoVは特別に「ネコ伝染性腹膜炎ウイルス(FIPV)」と呼ばれる。FIPVは、FCoVとイヌのコロナウイルス(CCoV)との組み換えで生じると考えられている。

 強毒のFIPVはネコでは拡大しない。あくまでもネコに感染し広がっていくのは、弱毒型のFCoVである。強毒なウイルスが弱毒のウイルスを押しのけて蔓延することはないのだ。

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