新型コロナの未来 イヌウイルスから見た世界同時弱毒化の可能性

ブラジルでは感染者が300万人に迫る(C)ロイター

■毒性の低いウイルスは1カ所で出現したわけではない

 その後、われわれは東南アジアや日本のイヌパルボウイルスを分離し、遺伝的解析を行った。その結果、興味深いことが分かった。弱毒化したCPV―2aとCPV―2bがどこかで出現し世界を回ったように考えられていたのだが、遺伝子解析の結果はそうではなかったのだ。なんと、世界各地に広がったCPV―2が、CPV―2aとCPV―2bに「世界各地で独立に」進化したのであった。

 新型コロナウイルスは現在、地域ごとに変異が蓄積している。さまざまな研究者が新しい型を提唱しているが、地域ごとに遺伝型が変わることは当然のことである。問題は「抗原型が変わるのか」、そして「毒性が変わるのか」である。

 新型コロナウイルスがCPV―2と同じような経過をたどるのであれば、それほど恐れることはない。世界各地で同時多発的に弱毒化し、毒性の高い新型コロナウイルスは駆逐されていくのであろう。

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