在宅緩和医療の第一人者が考える「理想の最期」

施設が“安全”を優先すると…自立の機会を奪う新型コロナ

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

 フレイルとは、身体的機能や認知機能が低下し、健康な状態とサポートが必要な介護状態の中間に位置していることを指す言葉だ。

 コロナの感染予防で施設が“安全”を優先すれば、患者は必要以上に“管理”され、人との接触も減らされる。他者の力を借りれば自立できる高齢者にとっては、その機会が失われてしまうことが考えられるという。

「高齢者施設でクラスターが発生すれば、地域社会にとっても脅威です。病院のベッドには限りがある上、高齢者は重篤化しやすいため、重症者用ベッドが不足する事態が考えられます。仮に軽症だったとしても、認知症の患者に隔離を理解してもらうのは難しい。病院の医療者だけでは対応ができないのは明白で、今以上の人手が必要になります」

 リスクを抱えているのは高齢者施設だけではない。障害者福祉施設も同様だ。

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蘆野吉和

蘆野吉和

1978年、東北大学医学部卒。80年代から在宅緩和医療に取り組む。十和田市立中央病院院長・事業管理者、青森県立中央病院医療管理監、社会医療法人北斗地域包括ケア推進センター長、鶴岡市立荘内病院参与などを歴任し現職。

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