がんと向き合い生きていく

相談センターで「不安になるのは無理もない」と言われ…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 Sさん(58歳・女性)は進行した婦人科がんで、これまで3年間、同じ病院で5回、入退院を繰り返し、現在も通院中です。そんなSさんがこんなお話をしてくれました。

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 手術後に抗がん剤治療を受け、その副作用で、吐いたり、髪の毛が抜けたり、手足がしびれたり、いろいろありました。それでも頑張ったかいがあってがんがコントロールされ、とても調子の良い時期が続きました。

 しかし、4カ月前から両下肢のむくみが強くなり、時々、下腹部に痛みが出てきました。担当医からは「再発した」と言われ、これまでの抗がん剤が効きにくくなったことから、別の抗がん剤に替えて経過を見ています。最近は食欲がなく、一日中、横になっていると「6回目の入院かな?」と不安に思ったりしています。

 通院の時は、「電車内で新型コロナがうつるのではないか」と考えてとても憂鬱になり、痛みのない時は病院に行くのを休もうか……と迷うこともあります。それでも抗がん剤を内服していることもあり、何かあったら入院させてもらうつもりで、我慢して通院しています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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