がんと向き合い生きていく

相談センターで「不安になるのは無理もない」と言われ…

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 以前はもっと前向きに頑張れたのに、担当医から「今度は抗がん剤が効く可能性は低いかもしれない」と言われた時からとても弱気になり、もうダメかもしれないと思ったり、とても暗い気持ちになっていました。

 娘は3年前に高校を卒業して、自宅の近隣にある会社に就職しました。会社の許しを得てこの春から夜間学校へ通い、「介護福祉士の資格を取る」と張り切っています。でも、新型コロナの影響で学校へは通学できていないようです。私よりもずっと素直で、頑張り屋で、家事もよくやってくれる……娘には感謝しています。

 1年ほど前、娘とお付き合いしている男性が会いにきてくれました。その時、「くれぐれもよろしくお願いします」とあいさつしたのですが、最近、娘はその男性の話をしません。「別れた」とも言わないので、深くは聞いていません。ただ、もしかして自分のことが重荷になっているのかもしれない……という不安も感じています。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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