新型コロナでわかった不都合な真実

都道府県でも違う 自殺が多い県少ない県は実像を表しているか

写真はイメージ(C)日刊ゲンダイ

●警察庁(厚労省)
全国平均…16・0人(15・7人)
山梨県…22・4人(17・0人)
長崎県…17・1人(14・3人)
大阪府…14・0人(16・0人)

 まず山梨県だ。警察の統計をもとに計算すると、人口10万人当たりの自殺者は22・4人。全国ワースト3位の「自殺県」ということになる。ところが厚労省の数字(山梨県民の自殺者数)で計算すると、自殺者は17・0人で全国15位だ。他県から山梨にやってきて、そこで自殺する人が多いのである。山梨県にとっては迷惑な話だろう。だが青木ケ原樹海は、全国的に名の知れた自殺スポットだし、東京や神奈川からのアクセスもいいなど、自殺願望のある人にとっては好都合な場所なのである。

 長崎県もなぜか、県外からの自殺者が多いらしい。県民の自殺率は全国屈指の低さなのに、警察の統計では47都道府県のちょうど真ん中に位置している。これといった自殺の名所は思い当たらないのだが、海岸線が複雑で、離島も多いことなどが影響しているのかもしれない。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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