新型コロナ禍で何が起きているのか

新型コロナが流行する前にインフルエンザは大幅減少していた

ダイヤモンド・プリンセス号での感染で人々の関心が集まり始めた(C)日刊ゲンダイ

 だが国民にしてみれば、感染症対策を始めようにもやりようがなかった。マスクも消毒用アルコールも手に入らないのだ。それに新型コロナといっても、所詮は「ただの風邪」と言う人も多くいて、個人レベルの感染症対策はなかなか進まなかったのである。

 そんな状況下で、インフルエンザだけが、なぜか急に減った。まるで新型コロナの流行を先読みしていたかのように、2020年の年明けから減り続け、3月13日の時点では事実上「感染者ゼロ」にまで下がっていたのである。

 なぜそうなったのか、理由は分からない。いずれ解明される日が来るかもしれないが、ともかくも「コロナ対策以前からインフルが減り始めていた」という事実は、忘れるべきではないだろう。

 またインフルエンザにマスクや手洗い・消毒がきわめて有効であることは分かったが、コロナワクチンの接種が進み、一般市民の気が緩んだ途端、今度はインフルエンザが暴れだすかもしれない。なにしろ丸2年近くもインフルエンザに罹らずに過ごしてきたのだから、インフルエンザに対する抵抗力が落ちていたとしても不思議ではない。

 彼らは満を持して、チャンスが来るのを待ち構えているのかもしれないのだ。

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永田宏

永田宏

筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。

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