人生に勝つ性教育講座

女性にモテた坂本竜馬の梅毒説は本当か マラリアなど諸説あり

龍馬像と海援隊旗(C)日刊ゲンダイ

 そんな竜馬にも梅毒説があります。きっかけは、明治時代の社会主義者・幸徳秋水が師である中江兆民のことを書いた伝記「兆民先生」の一文にあります。

「兆民先生嘗て坂本君の状を述べて曰く、豪傑は自ら人をして崇拝の念を生ぜしむ。予は当時少年なりしも、彼を見て何となくエラキ人なりと信ぜるが故に、平生人に屈せざる予も、彼が純然たる土佐訛りの方言もて、『中江のニイさん煙草を買ふてオーセ』などと命ぜらるれば、快然として使ひせしこと屢々たりき。彼の眼は細くして其の額は梅毒の為め抜け上り居たりきと」

 竜馬と明治の思想家・中江は同じ土佐の出身です。秋水も同じです。中江が藩命で長崎留学中に、当時亀山社中にいた竜馬と会ったときの様子を、郷里の後輩であり愛弟子である秋水に自慢げに話したのでしょう。それを秋水は覚えていて「兆民先生」に書き記したのに違いありません。

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尾上泰彦

尾上泰彦

性感染症専門医療機関「プライベートケアクリニック東京」院長。日大医学部卒。医学博士。日本性感染症学会(功労会員)、(財)性の健康医学財団(代議員)、厚生労働省エイズ対策研究事業「性感染症患者のHIV感染と行動のモニタリングに関する研究」共同研究者、川崎STI研究会代表世話人などを務め、日本の性感染症予防・治療を牽引している。著書も多く、近著に「性感染症 プライベートゾーンの怖い医学」(角川新書)がある。

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