独白 愉快な“病人”たち

ギター講師の黒河内直樹さん語る「局所性ジストニア」との壮絶闘病

黒河内直樹さん(C)日刊ゲンダイ

 当時は自宅にネット環境がなかったので自力で調べることもできず、半年間ぐらい整形外科を転々としました。

 どこへ行っても「わからない」と言われ続けた中、最後に訪れた整形外科で「脳神経外科の方がいいのでは?」と言われ、紹介してもらったのが東京女子医科大学病院でした。

 受診すると、ものの数分で「フォーカル(局所性)ジストニア」と確定されました。当時は医師の中でも認知度が低い病名で、僕もそのとき初めて聞きました。ざっくり言うと職業病の一種で、音楽家だけではなく書道家や美容師など繊細な指の動作を反復して行う仕事をしている人に起こりやすいそうです。精神的なものではなく、脳の異常で筋肉が勝手に萎縮したり、痙攣したりしてしまう病気です。

 鍼やお灸で症状を和らげる方法もありましたが、しっかり治したかったので手術を選択しました。頭蓋骨に小さな穴を開けて、そこから視床という脳の深部まで細い管を差し込み、弱い電流を流して異常を起こしている視床の一部の機能を停止させるという手術です。

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