独白 愉快な“病人”たち

ギター講師の黒河内直樹さん語る「局所性ジストニア」との壮絶闘病

黒河内直樹さん(C)日刊ゲンダイ

 僕自身は、1回目の手術から地道な努力を続け、5年たってやっとプロギタリストらしい段階まで回復しました。ただ、そこから5年たっても上達しなかったので、自力回復に限界を感じて2回目の手術を決意したのです。前回とは違うポイントに電流を流してもらい、「これで元に戻る」と願いました。

 結論から言えば、少しは良くなりました。ですが今度は手術の副作用で大変でした。右半身に力が入らなくなり、最初は真っすぐ立つこともできませんでした。一番困ったのはろれつが回らなかったこと。歯科治療で麻酔されたときのような状態が続き、言葉が伝わらないのがつらかった。作業療法と理学療法と言語のリハビリに通いました。ろれつが気にならなくなるまで18カ月かかりました。

 自分が構築してきた運動学習をまた地道に繰り返し、現在2回目の手術からおよそ5年がたちました。まだ完璧ではないですし、疲労がたまるとこわばりの症状や、ろれつがおかしくなったりもするんですけど、少しずつギターは上達しています。

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