独白 愉快な“病人”たち

ギター講師の黒河内直樹さん語る「局所性ジストニア」との壮絶闘病

黒河内直樹さん(C)日刊ゲンダイ

 その手術を2007年と2017年に2回受けました。1回目は施術したポイントがズレていたのか、まったく効果がなく、ただ痛いだけの経験をしました。

「人によって個人差があって回復が見込めないこともあります」と言われていた通り、まさにその見込めない方でした。

■運動学習理論を独学で勉強

 ただ、その出来事が今の仕事への転機になりました。手術で治らず「他力本願ではどうにもならない。自分で道を探すしかない」と決意して、スポーツ科学やリハビリにも用いられる運動学習理論を独学で勉強し始めたのです。生活動作から楽器演奏のような繊細な動きまで、効率的な動かし方の手順書のようなものを作って実践しました。

 1回目の手術から1~2年後、まだ満足にギターは弾けませんでしたが、アルバイトしていた音楽スタジオの上司に「ギター教室をやったらどうか」と提案したら、本当に教室を立ち上げてくれたのです。しかも指の動きに特化して、動かし方を理論で構築していく教室です。僕自身があまり弾かなくてもいい形でやらせてもらえて、しかもそれが思いのほかウケまして(笑い)、「これでやっていけそうだ」となったんです。

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