独白 愉快な“病人”たち

ギター講師の黒河内直樹さん語る「局所性ジストニア」との壮絶闘病

黒河内直樹さん(C)日刊ゲンダイ

 病気になる前は、ひたすら好きなギタリストの真似をして、弾けないと「練習が足りない」と自分を追い込みました。それが症状の悪化を招いてしまったと思います。でも、ひとつ病気になってよかったことがあるとするなら、それまでの弾き方を外科的にゼロにして、新たに自分に合った弾き方を再インストールできたこと。学び直すチャンスを得たことです。

 根性論ではなく、体のどこをどう使ったらいいのかを示すことで、長く一生演奏を楽しめる弾き方を構築していく。そんな教室ができたのも、この病気を経験したからこそだと思います。

(聞き手=松永詠美子)

▽黒河内直樹(くろこうち・なおき)1982年、長野県生まれ。15歳からギターを始め、東京の音楽専門学校に入学。在学中にプロ活動を始める。ジストニアによる演奏不能な時期を乗り越え、現在は「ハートフルギター教室」の講師。リハビリ中に身につけた運動学習理論を基に科学的根拠のある独特な指導法が支持されている。

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