さらに、手術の現場に立ったときに周囲としっかりコミュニケーションをとれるかどうかも重要です。手術は外科医ひとりで行うわけではありません。助手、麻酔科医、技師、看護師といったチーム全体で臨むものです。いわゆる「ソロ手術」といわれる脳神経外科や眼科の顕微鏡下手術の一部以外は、手術中にタイミングを見ながら周囲に声をかけたり、逆に周囲の言葉にしっかり耳を傾けるなど、コミュニケーションが欠かせないのです。
メンタルとフィジカルのコントロール、周囲とのコミュニケーションが問題なく実践できて、初めて外科医としてスタートラインに立てるといっていいでしょう。逆にそのどれかが欠けている医師は、チームによる手術を行う外科医には向いていないと判断できます。その場合、手術とは無縁の領域に進むか、ひとりでもできる開業医になるしかありません。患者さんの命を預かるわけですから、妥協は許されないのです。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」