上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」

「出会いに感謝」「苦労と握手」若手医師に伝える心構え

天野篤氏(C)日刊ゲンダイ

 すべての出会いに感謝する。苦労と握手する。この2つがしっかりできる外科医は伸びていきます。指導する側として、いつも若手に伝えていることです。

■次の患者を待たせないことも大切

 ほかにも、事あるごとに教えているのが「次の患者さんを待たせない」という意識を持つことです。医師にとって大切なのは、次に待っている患者さんに対し、一刻も早く自分の能力を提供することです。

 たとえば、寿司を食べにいくとして、銀座の高級寿司店と近所の回転寿司という選択肢があったとします。単純においしさだけを考えれば、銀座の高級寿司店のほうが上なのは当然です。しかし、ものすごくお腹が減っていて今すぐにでも寿司が食べたいという状況であれば、目的を果たしやすいのは近所の回転寿司です。銀座の寿司店に行く場合、空腹をこらえて銀座まで移動し、カウンター席に座り、順番に寿司ネタが出てくるのを待ってじっくり食べなければなりません。

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天野篤

天野篤

1955年、埼玉県蓮田市生まれ。日本大学医学部卒業後、亀田総合病院(千葉県鴨川市)や新東京病院(千葉県松戸市)などで数多くの手術症例を重ね、02年に現職に就任。これまでに執刀した手術は6500例を超え、98%以上の成功率を収めている。12年2月、東京大学と順天堂大の合同チームで天皇陛下の冠動脈バイパス手術を執刀した。近著に「天職」(プレジデント社)、「100年を生きる 心臓との付き合い方」(講談社ビーシー)、「若さは心臓から築く 新型コロナ時代の100年人生の迎え方」(講談社ビーシー)がある。

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