がんと向き合い生きていく

コロナ禍の巣ごもりで同居人からの受動喫煙が増えている

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 日本国内では、たばこを吸わないのに受動喫煙の影響で年間1万5000人が亡くなっているのです。

 たばことの因果関係が明らかになっているがんは肺がんだけではなく、頭頚部、食道、胃、さらには肝臓、膵臓、膀胱、子宮頚部のがんなど、たくさんあります。また、たばこが原因となる病気はがんだけではありません。脳卒中や心筋梗塞なども該当します。コロナ禍での受動喫煙で病気が増えたら、踏んだり蹴ったりとは、このことではないかと思うのです。

■コロナ禍を契機に

 2010年、IOC(国際オリンピック委員会)とWHO(世界保健機関)は「たばこのない五輪の推進」で合意し、その後、五輪開催都市だったロンドンとリオデジャネイロでは飲食店などの屋内全面禁煙が実現しました。そして、「その禁煙による飲食店の客離れはなかった」とする調査もあります。

2 / 4 ページ

佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

関連記事