がんと向き合い生きていく

がん検査「CT」「MRI」「PET」はそれぞれわかることが違う

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 PET/CT検査はPET検査とCT検査の画像を重ねてがんの位置を診断します。PETでFDGが集積した位置が、解剖学的にどこなのかをCT画像で明らかにするのです。

 全身MRIやPET検査は一度に全身の検査ができますが、いずれの検査でも消化管の診断は苦手です。食道や胃については胃内視鏡あるいは胃X線検査、大腸では便潜血反応で陽性であれば、大腸内視鏡検査が必要です。

 CT検査とPET検査では放射線を使いますから、「被曝」が気になります。CT検査の放射線量は1.4~3.5ミリシーベルト、PET検査で使う検査薬のFDGから放出される放射線量は3.5ミリシーベルトです。FDGから出る放射線は時間とともに減り、尿から排泄されます。

 人の健康に影響するのは、通常100ミリシーベルト以上だといわれていますし、日本人は通常の生活でも年間平均1.2ミリシーベルトの放射線を受けているといわれています。検査での被曝量はそこまで心配する必要はないでしょう。しかし、妊娠している、あるいは妊娠している可能性がある方は、必ず医師と相談してください。胎児は放射線の影響を受けやすいためです。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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