Dr.中川 がんサバイバーの知恵

3回目スタート がん患者のコロナワクチン接種前後の注意点

まずは医療従事者と高齢者から(C)共同通信社

 転移がある人は感染リスクが高いので、今後、接種券が届いたらなるべく早く接種するのが無難でしょう。抗がん剤や放射線の治療予定がある人は、スケジュール調整が可能なら、治療前の接種がベターです。

 それ以外、たとえば早期がんで治療を終えて経過観察中の人などは、必ずしも感染リスクが高いわけではありませんが、接種しない選択肢はありません。がんの治療中にコロナ感染が見つかると、がん治療を中断し、コロナ治療が優先に。その間にがんが悪化する恐れがないとはいえません。ですから、経過観察中の方も早めに。

 私は3回目接種を受ける前、コロナの抗体量を測定すると、266.5AU/ミリリットルと、日本人を対象にした横浜市立大の調査に比べてかなり低い数値でガッカリ。3回目の接種後は2万AU/ミリリットルと十分な量に増加し、ホッとしています。重症化予防はもちろん、感染予防にも有効だろうと。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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