Dr.中川 がんサバイバーの知恵

3回目スタート がん患者のコロナワクチン接種前後の注意点

まずは医療従事者と高齢者から(C)共同通信社

 抗体の量は、飲酒習慣がある人や年齢が高い人ほど低くなりやすいことが分かっています。61歳で酒好きですから、低い数値だったのです。私のようなタイプは、ぜひ3回目接種を軽く考えないでください。

 がん患者の場合、ワクチン接種後は一般の発熱や痛み、倦怠感などと異なる副反応が表れることがあります。接種した側のリンパ節の腫れです。そのままPET検査を受けると、本当は転移もなく陰性なのに“陽性”と誤診されることがあるので、腋窩(えきか)リンパ節検査などでPET検査を受ける時は、4~6週間後がよいとされます。

 オミクロンが先行する欧州では、WHO幹部の終息観測も出始めました。もう少しの辛抱ですから、3回目接種をきちんとしてコロナ禍を乗り越えましょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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