Dr.中川 がんサバイバーの知恵

男子バレー藤井直伸選手は30歳で…スキルス胃がんの早期発見には内視鏡よりバリウム検査

藤井直伸選手(C)共同通信社

 では、難治性のスキルス胃がんを少しでも早く見つけて治療するにはどうするか。このタイプはX線で見つかることもあり、内視鏡よりバリウム検査がベターです。ふだん内視鏡検査を受けている人も、2年に1度は自治体のがん検診を利用するなどしてバリウム検査を受けることをお勧めします。

 新たな治療法の開発も期待できるかもしれません。国立がん研究センターと慶応大の研究チームは、スキルス胃がんに特徴的な複数の遺伝子異常を特定。その異常を標的とする既存の分子標的薬を、胃がんのマウスに投与すると、がんの増殖が抑えられたり、腹膜播種が消えたりしたのです。4人に1人は既存薬の効果が期待できるそうですから、新たな治療法が開発されるのも、遠くないでしょう。

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中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

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