やはり、“本番”の手術に対する不安がもっとも大きいのは間違いありません。近年の医療では、患者さんの不安を取り除き、納得してもらったうえで治療を行うという手続きはきわめて重要です。
心臓手術の場合、多くは事前にしっかり診断したうえで計画的に行われる予定手術ですから、「インフォームドコンセント」は欠かせません。治療の詳しい内容、期待される結果や予後、起こり得る合併症やリスク、そのリスクに対し局面に応じてどのように対応するのかなど、医師が患者さんに十分な情報を伝え、丁寧な説明を繰り返します。そのうえで、患者さんとの間に信頼関係を築き、手術に臨むのです。
事前説明の通りにすべての治療が完了すれば、患者さんの満足度は高くなります。そうした事例を積み重ねていくと、医師や病院の評判も上がっていきます。さらに、合併症を起こすことなく予定通りに患者さんが退院し、その分だけ新しい患者さんを受け入れることができるようになるため、収益面でも病院にとってプラスになります。患者さんにとっても病院にとっても有益な「WIN-WIN」の状態をつくることができるのです。これがとても重要で、そのためのスタートラインが「患者さんの不安を取り除く」ことといえるでしょう。
上皇の執刀医「心臓病はここまで治せる」