血液型は胃がんや膵臓がんの発生リスクと関係していますし、肺がんの予後にも関与しています。では、ほかのがんではどうでしょうか。
過去に発表された多数の論文を総合的に評価する「メタアナリシス」解析で、全がんリスク(すべてのがんに対する総合的なリスク)は、O型を「1」とすると非O型が「1.2」、とくにA型(AB型を含む)では「1.3以上」という数字が出ています。つまりA抗原を持っている人がもっともがんになりやすく、O型は相対的になりにくく、B型はその中間というわけです。
個別のがんで見ると、子宮頚がんで、非O型のリスクがO型の1.3倍となっています。ただ子宮頚がんの多くは、ヒトパピローマウイルス(HPV)が原因になっており、ワクチンでかなり防げます。世界的にワクチンの普及が進んでいるため(日本だけは滞っていますが)、今後は数字が変わってくるはずです。

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永田宏
長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授
筑波大理工学研究科修士課程修了。オリンパス光学工業、KDDI研究所、タケダライフサイエンスリサーチセンター客員研究員、鈴鹿医療科学大学医用工学部教授を歴任。オープンデータを利用して、医療介護政策の分析や、医療資源の分布等に関する研究、国民の消費動向からみた健康と疾病予防の解析などを行っている。「血液型 で分かるなりやすい病気なりにくい病気」など著書多数。