認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

近年注目の「脳腸相関」で腸内フローラを整えて認知機能低下を防ぐ

写真はイメージ

 特に来てほしいと考えているのは、40~50代。夕方から夜にかけて行うことにしたのも、これら働く世代が仕事終わりに参加して欲しいからです。

 認知症対策をテーマとした講演会や勉強会、市区町村の催し物となると、参加者のほとんどがご高齢の方々。同年代に認知症を発症する方が出てきて、ようやく「自分のこと」として捉えられるからでしょうが、この欄で幾度となく紹介しているように、本気で認知症を回避したいなら、認知症の発症年齢になってからでは遅いです。

 認知症の大多数を占めるアルツハイマー病の原因物質、アミロイドβは20年以上かけてゆっくりと蓄積されます。アルツハイマー病の発症年齢は、平均65~80歳。早い人では40代から蓄積し始めているのです。

 もちろん、蓄積してからでも対策はありますが、蓄積する前と後とでは打てる対策の数に開きがありますし、効果の度合いも違うと考えられます。世界的な医学雑誌ランセットでは、認知機能低下リスクの早期予防という観点からは、自身の物忘れに気づく40~50代のうちに対策を始めることが有効と提唱しています。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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