認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

近年注目の「脳腸相関」で腸内フローラを整えて認知機能低下を防ぐ

写真はイメージ

■権威ある世界的な医学誌で論文報告

 今回の「記憶対策アカデミー」の目玉のひとつが、腸と脳の関係(脳腸相関)を軸とした認知症対策の知識を学べること。

 腸内フローラ(腸内細菌叢)という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。腸内フローラを整えて免疫力を高め、病気になりにくい体をつくろう、とよく言われています。さらに近年は、腸内フローラは認知機能にも密接にかかわっていることが明らかになってきているのです。

 2020年には、神経学の専門雑誌「ランセット・ニューロロジー誌」に、アルツハイマー病、多発性硬化症、パーキンソン病、脳卒中といった神経疾患と腸内細菌が関連していることを示す論文が発表されています。

 また、アルツフォーラムという世界的に権威ある認知症に関するデータベースで、唯一掲載されているプレバイオティクスのサプリメントが、ビフィズス菌MCC1274。エビデンス(研究成果)として最も信頼が置けると考えていいわけですが、このビフィズス菌MCC1274は、やはり脳腸相関に関わるものです。ビフィズス菌MCC1274で腸内環境を整えると、細胞レベルの研究でアミロイドβがたまりにくくなるとの結果や、人では海馬萎縮を防ぐといった結果が得られています。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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