それまでも、ホップ苦味酸がアルツハイマー病への予防効果を示すことは非臨床試験で報告されていました。ただ、ヒトでの効果は十分には検証されておらず、私たちが物忘れを自覚する中高年(認知症ではなく健常者)を対象にランダム化二重盲検比較試験を行ったのです。ランダム化二重盲検比較試験とは、被験者を無作為に被験薬を投与するグループとプラセボ(偽薬)を投与するグループに分け、両群同時に、同じ期間投与し、その結果を見る方法です。
研究では、ホップ苦味酸が中高齢者の認知機能の中でも特に注意機能、ストレス状態、気分状態を改善することが明らかになりました。
ホップ苦味酸を活用したサプリの毎日の活用が認知症予防につながることを期待して、ヒトでの作用機序解明や軽症アルツハイマー病患者さんを対象にした効果検証が進められていますが、現段階では、「ホップ苦味酸が認知症を予防する」とはっきり言えるところまでデータは確立されていません。
認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う