認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

サプリははっきりしたエビデンスが見つかっているものは少ない

WHOは推奨しないと踏み込んだ発言を…

■WHOは「推奨しない」

 WHO(世界保健機関)はガイドラインでこんなことを述べています。認知症予防において、健康的な食生活を推奨する項目の中です。

「ビタミンB、E、多価不飽和脂肪酸、複合サプリメントは、認知症予防の観点からは推奨されない」

 このガイドラインでは、「運動せよ」「社会活動せよ」などと積極的な発言が多いのに、サプリにだけは「頼るな」と踏み込んだ発言をしているのは目を引きます。

「フランス人はポリフェノールを含む赤ワインをよく飲んでいるので、認知症が少ない」といった話を聞いたことがあるでしょう。「インド人はクミンを含むカレーを食べているので認知症が少ない」というのもありますね。イチョウ葉エキス、青背の魚のDHAやEPAにも、同じような疫学的な研究結果があります。しかし、これらの研究は、被験者が少なかったり、どのくらいの量を摂取しどのくらいの効果があったか、医学的な検証はされていません。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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