ある日の外来で、Kさんが手にしていたペットボトルには「○○霊水」と書かれていました。
Kさんは、「この霊水、がんに効くんです。何のがんにも効くんです。がんのお友達が医師から、あと3カ月の命と言われてから、この○○霊水を飲み始めて2年になりますが、元気なんです」と言ってニッコリされました。
とても効くとは思えなかった私は首をかしげましたが、飲むのをやめるようにとまでは言いませんでした。
また別のお話になりますが、かつて、ある先輩医師が「△△霊水」の説明書を持って私のところまで来られたことがあります。その水に含まれるわずかな鉱物などの成分が書かれていましたが、先輩は「万病に効く、がんに効く」と言うのです。
先輩はニコニコした笑顔で、「あなたはこれをどう思いますか?」と言われるのです。私は困った顔をしていたと思います。
がんと向き合い生きていく