がんと向き合い生きていく

「霊水」ががんに効くとは思えないが…担当医に相談してほしい

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 ある日の外来で、Kさんが手にしていたペットボトルには「○○霊水」と書かれていました。

 Kさんは、「この霊水、がんに効くんです。何のがんにも効くんです。がんのお友達が医師から、あと3カ月の命と言われてから、この○○霊水を飲み始めて2年になりますが、元気なんです」と言ってニッコリされました。

 とても効くとは思えなかった私は首をかしげましたが、飲むのをやめるようにとまでは言いませんでした。

 また別のお話になりますが、かつて、ある先輩医師が「△△霊水」の説明書を持って私のところまで来られたことがあります。その水に含まれるわずかな鉱物などの成分が書かれていましたが、先輩は「万病に効く、がんに効く」と言うのです。

 先輩はニコニコした笑顔で、「あなたはこれをどう思いますか?」と言われるのです。私は困った顔をしていたと思います。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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