がんと向き合い生きていく

恐山と玉川温泉には“救い”を求める人々が集まっていた

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

 あちこちに立てられた赤い風車がたくさん回っていました。きっと、亡くなった赤ちゃんのために立てたのだと思いました。なんとなく、たくさんの魂がさまよっているような雰囲気です。硫黄が噴出している岩もありました。

 夏の大祭の時はイタコ(女性の霊媒師)が集まり、あの世に逝ってしまった家族の方の「口寄せ」をしてくれます。イタコは(津軽弁の方が多いようでした)、早口で亡くなった方との間を取り持ってくれるのだそうです。

 実際には私は通り過ぎただけで、どんなお話をされているのか分かりませんが、長い時間、イタコとその話を聞いている方が座っていました。亡くなったあの人は、あの世で自分たちのことをどう思っているのか?

 多くの方はそれを聞いて、そしてこれからの自分たちの生き方を考えるのではないかと思いました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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