Dr.中川 がんサバイバーの知恵

再発肺がんで急逝した三遊亭円楽さん 報道より進行していた可能性

三遊亭円楽さん(C)日刊ゲンダイ

 翌19年7月、MRI検査で脳と首のリンパ節への転移が判明。脳転移は2.5センチで、ガンマナイフという定位放射線治療を1回15分、3日かけて受けています。

 脳転移にはガンマナイフがとても効果的です。円楽さんは治療で、高座で感じていた「モヤモヤが消え、湯水のごとく言葉があふれてくる」と治療効果を語っています。ですから、脳転移は制御できていたと考えられ、記憶などへの影響は報じられている通り脳梗塞と考えるのが妥当だと思います。

 脳転移は、治療をしないと1~2カ月で転移巣がある部位の神経症状が現れ、3カ月ほどで命に影響を及ぼします。その点からも、脳転移が悪さをした可能性は少ないでしょう。

 このガンマナイフ治療とは別に、免疫チェックポイント阻害剤・キイトルーダによる薬物治療をスタート。その後の検査で、頚部リンパ節の腫瘍が縮小したそうです。

2 / 3 ページ

中川恵一

中川恵一

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

関連記事