がんと向き合い生きていく

食べられる幸せに感謝しなければ…食道がんの知人と話して思ったこと

佐々木常雄氏(C)日刊ゲンダイ

■がん予防にはバランスの良い食事が大切

 父はニシンの数の子が大好きでした。祖母は、「数の子が入っているのが、父ちゃんのだぞ」と言っていたと思います。父は私に少し分けてくれました。最近は「津軽漬」といって、コンブやイカに数の子が入ったものがあります。大きな数の子を見ると、父を思い出します。

 私は、小さい頃からうどんは好きでしたが、蕎麦は嫌いでした。ところが20年ほど前、講演で長野を訪ねた際に善光寺の門前の蕎麦屋さんで食べた十割蕎麦! この時、初めて蕎麦のおいしさを知りました。今では、数人で「蕎麦を食う会」もつくっています。

 ちなみに私が嫌いなのは、発酵食のくさや、ふなずしです。しかし妻は、大津のふなずしが大好きなようです。

 このところの約10年間で、おいしかったものとして思い出すのは、富山県の高岡市で食べた白エビのかき揚げです。そして、今年初めて自宅の狭い庭で採れたカボチャです。自宅で採れたということもあると思いますが、とってもおいしくいただきました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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