老親・家族 在宅での看取り方

一人暮らしだけど一人じゃない 愛する猫と最期まで過ごしたい

写真はイメージ

 前出の男性は、ご家族がおらず一人暮らし。お姉さんが東北に、甥っ子さんが南関東に住んでいます。

 聞けば16年の長きにわたって猫の保護活動をしており、家で2匹の猫を飼っているといいます。「いま自宅に戻ったら、孤独死の可能性もありますよ」と病院から説明を受けてもなお、入院ではなく自宅にこだわるのは、家猫のためでもあるということでした。

「お願いします」(私)

「よろしくお願いします。腹痛と足のむくみがあります」(患者)

「そうですね」(私)

「C型肝炎で10年前に病院にかかって、そのとき血液検査とか尿検査して大丈夫だったんだけどね。ある日突然に抗がん剤治療が始まって、頭がパニックになってしまって、言語障害も出たんです。そのうち痰にも血がたくさん出ちゃったりしてね。仲間に救急車呼んでもらったんだけど、コロナで病院が見つからなくて。4時間くらい回ってB病院でどうにかカテーテルをやってくれてさ。後から聞けばそれもこれも抗がん剤の副作用だったんだよね」(患者)

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下山祐人

下山祐人

2004年、東京医大医学部卒業。17年に在宅医療をメインとするクリニック「あけぼの診療所」開業。新宿を拠点に16キロ圏内を中心に訪問診療を行う。

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