ロボット手術は細かい作業も可能で、毛筆で米粒に字を書くようなこともできます。熟練した医師は、「患者の体の中にいるようだ」と表現することも。それで、出血量や手術後の痛みを減らせるほか、入院期間の短縮もメリットです。
がんの手術で最初にロボット手術が適応になったのは前立腺がんで、その後、ほとんどのがんに広がっています。ロボット導入施設では、手術の主流といっていいかもしれません。
そんな状況での医療事故ですが、今回は推測ながら、ロボットが直接の原因とは考えにくい。逆にいうと今回のような大量出血は、人間が直接行う内視鏡手術でも開腹手術でも起こる可能性があります。
メスで血管を傷つけたり、電気メスで血管にヤケドができたりすると、出血のリスクになります。そのリスクは、手術方法を問わずに生じる恐れがあり、残念ながらゼロにはできません。
Dr.中川 がんサバイバーの知恵