認知症治療の第一人者が教える 元気な脳で天寿を全う

年末年始の帰省時に老親と一緒にやっておきたい「4つの認知機能低下対策」

写真はイメージ(C)PIXTA

 その際、親御さんが話している内容を遮るのはNGです。なぜなら「昔を思い出す」に加え、それを「語る」ことも重要。親子間でありがちなのが、「その話は前に聞いた」「それは◎◎◎の時の話で、いま話しているのは◆◆◆の時のこと。間違えてるよ」などとつっこみ、親御さんが気持ちよく話しているのを遮るパターンです。「そんなことあったっけ?」という疑問は、心の中にだけとどめておきましょう。

■歌を歌う

 家族が集まってのカラオケ大会なんて、盛り上がりますし、認知機能低下対策にもお勧めですよ。私が認知症になる前の人を対象に開いている「健脳カフェ」でも、カラオケを取り入れています。

 声を出して歌うことは、心肺機能を改善し、ストレス軽減につながります。首から上喉や口回り、お腹などの筋肉も使いますし、思っているよりもカロリーの消費量が高い。脳への刺激もかなりのものです。

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新井平伊

新井平伊

1984年、順天堂大学大学院医学研究科修了。東京都精神医学総合研究所精神薬理部門主任研究員、順天堂大学医学部講師、順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学教授を経て、2019年からアルツクリニック東京院長。順天堂大学医学部名誉教授。アルツハイマー病の基礎と研究を中心とした老年精神医学が専門。日本老年精神医学会前理事長。1999年、当時日本で唯一の「若年性アルツハイマー病専門外来」を開設。2019年、世界に先駆けてアミロイドPET検査を含む「健脳ドック」を導入した。著書に「脳寿命を延ばす 認知症にならない18の方法」(文春新書)など。

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