がんと向き合い生きていく

がん患者が生きがいを感じながら働けているか…繰り返し調査が必要

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 そうか、息子さんに会った時は、たしか小学校に入学して間もなくだった。良かった、良かった。

 年間約100万人が、がんと診断される時代です。生涯で2人に1人ががんに罹患し、がん患者の3分の1は20歳から65歳、働き盛りの方なのです。がんが早く制圧されることが最も大切ですが、がんと診断された方の仕事や就労も生きていくには大切なことです。

 がん患者の離職防止、再就職支援、医療機関と職場・地域の連携の必要性は、がん対策推進基本計画に明記されています。

 厚労省は2016年に「事業場における治療と仕事の両立支援のためのガイドライン」を公表しました。事業所として実施すべき環境整備、両立支援の具体的な進め方の指針です。がんと診断された従業員の雇用継続への配慮が「事業者の責務(努力義務)」と明記されました。2017年の働き方改革実行計画では、病気の治療と仕事の両立を社会的にサポートする仕組みを整え、病気を患った人々が生きがいを感じながら働ける社会を目指すことが打ち出されました。

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佐々木常雄

佐々木常雄

東京都立駒込病院名誉院長。専門はがん化学療法・腫瘍内科学。1945年、山形県天童市生まれ。弘前大学医学部卒。青森県立中央病院から国立がんセンター(当時)を経て、75年から都立駒込病院化学療法科に勤務。08年から12年まで同院長。がん専門医として、2万人以上に抗がん剤治療を行い、2000人以上の最期をみとってきた。日本癌治療学会名誉会員、日本胃癌学会特別会員、癌と化学療法編集顧問などを務める。

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